アメリカでハリケーン災害に遭った人たちが、「日頃のアウトドア趣味が、災害時にとても役立った!」と言っていました。そのときの災害は洪水で、建物が流れ下水は溢れ、町は陸の孤島になり、避難指示が出されました。こうなった地域のインフラが回復するには、かなりの時間を要します。電気ガス水道はもちろん、道路や線路が回復しないと物資補充のための物流が滞ります。
彼らはそのとき、災害の中心部から離れたところにいて、仕事場が浸水したものの、幸いなことに最悪の状態は免れていました。そこで役立ったのがアウトドア用品と経験によるものでした。アウトドアウェア、用具、長期保存できるパッキングされた食べ物、そして「最低限で質素に過ごす」という心得。災害が起きたときは、救助やライフラインの復旧を待つのに最低3日間を想定して、その間を過ごせるくらいの準備が必要です。そう考えてみると、アウトドアを日ごろ楽しんでいる人たちは、レクリエーションで遊ぶための用意で、十分に災害時の準備ができているような気がしませんか?
「最低限で質素に過ごせる生活」であるアウトドアの用意は、災害準備としてもうってつけなのです。物資の補給が見込めない世紀末の過ごし方ではなく、あくまで災害対策として、です。ここでは先の彼らが実際に役立ったアウトドア準備について紹介していきますが、彼らはキャンピングカーをベースにしていたので、自宅に缶詰だったり、ある程度自由の利く避難所だったり、何かしら屋根があって寝泊りできる状態であることが前提となります。
<衣類>
夏と冬で異なりますが、夏の暑さは脱ぐことで比較的対応できます。問題は着て保温するしかない冬です。長さのあるインナー、帽子、歩きやすいブーツ、ウールの靴下、雨具、手袋、ナイロンパンツなど。普段着であるジーンズやコットンシャツなどは街歩きにはいいですが、有事の際には不安が大きくなります。冷たい雨や雪が降って暖房が利かないようなところにわざわざ閉じ込められるという事態が選択の余地なくやってくるのです。突然の雨や高地での冷える気温に対応できるアウトドアウェアは、いざというときにとても頼りになります。
<料理>
質素な生活とはいえ、食べなければ元気がでません。災害時に精神を落ち着かせるためにも、食べることは大切です。キャンプ用のレトルト食材もありますが、たとえば停電時などは傷んでしまうから冷蔵庫の中のものを食べてしまうという選択肢もありますよね。アウトドア用のシングルバーナーは小さな鍋を温めるのには良いですが、2バーナーのキャンプストーブがあるほうがより便利に使えます。ただし自宅やガレージ、火起こし可能な公園など、ベースとなる場所があり、燃料も蓄えておけることを前提とした話になりますが。